知ってた?実は、四国は長方形じゃない。あなたの人生も

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四国の形を言葉にする

日本地図の形を思い浮かべてください

その中でそうだな、たとえば、「四国」の形をおもいうかべてみましょう

そして、四国の地図の形を四国を知らない人にがんばって言葉だけで説明してみてください

・・・ そう言われたらどう思いますか?

「四国の正確な形」を言葉で説明することはできない

自分だったら何て言うかを少し考えて

だいたい長方形です」とか 「長方形ぽい形でデコボコがあるんですよ」というくらいしか言えないな、と思います

あるいは人によっては 「だいたい楕円です」という人もいるかもしませんし

他にも 「リンゴをぎゅっと押しつぶした形」と言う人もいるかもしれません

人によって色々な表現の工夫はあるかもしれないけど

でも

実際に四国の地図をビジュアルで見てみると、 様々な起伏があって ここがこうなって、あそこがああなって、となっているわけだけど、

そういうレベルでの正確な形は、言葉では表現できない

つまり

言葉というのは本質的に要約の技術だなと思う

人生とキャリア

話を転じますが

「人生」と「キャリア」というものの違いも、「四国の正確な形」と「長方形」の違いに似ているなと思います

人生には本当はさまざまな起伏があって、 その独特な形に感慨も生まれるのわけですが

言葉で説明すると、 「だいたい長方形です」としか言いようがない

私のキャリアは「円」とも言えないし「長方形」とも言えないし微妙な形なんです・・・と言って悩んでいる人がたまにいるけれど、気にしなくていいとと思う

「円」や「長方形」みたいな、人に説明しやすい形(キャリア)ではないけれど、その起伏のある独特な形(人生)そのものに本当はその人の美しさがあるわけだから

むしろ人に説明するときはなんていう言い方しようかな、と楽しむくらいでもいいんじゃないかな

  • 鯛焼きを手で握って形が崩れたところ
  • にんにくの断面を横から見たみたいな形
  • 古地図の端に残ったインクの染みの形
  • 焼きすぎたピザを切らずにそのまま置いた形
  • 寝癖のままの猫の背中の模様の形

いろいろ言ってみるといいかもしれない

そこから新しい視点が得られたらめっけもん、ぐらいの感覚で

もし僕がキャリアの相談にのるんだったら、そんな話をしてあげたいが、 何いってんスカ?って言われちゃうかもね

どすこい どすこい

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フィールド型 vs ダンジョン型PJ

「これはダンジョンだ」って、誰かに言ってほしかった。

新しいPJ(プロジェクト)を始めるとき、なんだかしんどい。やりたいのに、最初の一歩が出ない。そんな経験、ありませんか?

それ、もしかしたら「ダンジョン型のプロジェクト」だったのかもしれません。

なぜなら、「プロジェクトの進み方」には2種類あると思うからです。

プロジェクトには、あらかじめ地図が見えている「フィールド型」と、やってみないと先が見えない「ダンジョン型」があると感じています。

この発見のきっかけは、私が人生で初めてドラクエをプレイしたことからでした。ゲームをほとんどやってこなかった私ですが、いざやってみると、仕事にも似た感覚があることに気づいたんです。

ドラクエの世界には広いフィールドと、視界が徐々に広がるダンジョンがあります。それをヒントに、プロジェクトもこういうふうに2つのタイプに分けられるんじゃないかと。

例えば、こんな違いがあります。

フィールド型プロジェクト

Field type project metaphor

地図が広がっていて、目指す城(ゴール)が見えている。 何を決めて、どのルートをたどればいいか、おおよその想像がつく。 計画も立てやすく、意思決定は少なめだけど大きい。

たとえば「毎年恒例のキャンペーンを今年も実施する」みたいなプロジェクト。やるべきことも、関係者も、スケジュール感もある程度わかってる。進めやすいし、手慣れている。

ダンジョン型プロジェクト

最初の数歩だけが見えていて、その先は進んでみないとわからない。 「やってみないと次がわからない」ことの連続。 意思決定は小さいけれど頻繁に必要で、ゴールまでの道のりも不明瞭。

たとえば「誰もやったことのない新規事業」や「初めて取り組む技術導入」などがそう。想定すべきパターンが多く、妄想レベルの仮説をたくさん立てなきゃいけない。でも、いざ進んでみると次が見えることもある。

だからこそ、「進め方」も変える必要がある。

問題は、ダンジョン型なのにフィールド型の進め方を求めてしまうこと。
たとえば「この事業、何フェーズで終わりますか?」「最終的な成果物は何ですか?」と、地図がないのに地図を描けと言われるような状況。

これ、すごくつらいです。
見えない中で無理に全体像を作ろうとすると、何も始められなくなってしまう。

だから、まず自分たちのプロジェクトが「フィールド型」なのか「ダンジョン型」なのかを見極めて、それに合った進め方を選ぶことが大切なんです。

フィールド型なら、初めにルートをしっかり引けばOK。
ダンジョン型なら、「とりあえず目の前の部屋に進む」ことを繰り返しながら、都度都度意思決定していけばいい。

最後に:これは仕事だけじゃない、日常にもある感覚です。

この「フィールド型」「ダンジョン型」の感覚、仕事に限らず生活の中にもあります。

たとえば、家族のお祝いごとや旅行の計画は「フィールド型」。
手順もゴールも見えているし、決めるべきことも明確。

でも、「自分にとって未知のことを始める」――例えば、初めての副業や、知らない分野のボランティアに手を出すときなどは「ダンジョン型」。

私たちは同時に、両方のプロジェクトを抱えています。だから、どちらかだけで生きてるわけじゃない。

「今やっているこれはダンジョン型かも」と気づくだけで、進め方が少し楽になるかもしれません。


🗣 あなたのプロジェクトはどっち?
今、取り組んでいる仕事や挑戦が「フィールド型」か「ダンジョン型」か、ぜひ考えてみてください。
そして、もしダンジョン型のど真ん中で不安を感じていたら、こう声をかけたいです。

「それ、ダンジョンだから大丈夫。今見えてないのは当然だよ。」

Chief of staffって何?

こちらの記事は第一回ROCKETS RADIOの様子を抜粋したものです。ROCKETS RADIOは Podcast (Spotify, Apple, Amazon, StandFM)とYouTubeで聞くことができます。

ROCKETS RADIOの中ではChief of Staffについてもう少し詳しく語っているので、興味ある方はぜひ聞いてみてください。

"ROCKET RADIO" はじまる

Marcy
Marcy: 「ロケッツ レイディオ。このチャンネルは、我々ロケッツが『働く楽しさ』を創り出す力をブーストする、そんな活動の一環として始まりました!働くことにまつわる様々な見方を発信していきます」
Go
Go: 「はじまりましたねー。初回ですね!」
Marcy
Marcy: 「初回です!」
Go
Go: 「まず決めなきゃいけないことがあるんですよ! 超重要!」
Marcy
Marcy: 「なんですか?」
Go
Go: 「このロケッツ レイディオ、どのぐらいの硬さでやっていくかです!」
Marcy
Marcy: 「……硬さ?」
Go
Go: 「そう! パリッといくのか、ゴリッといくのか、それともモフっといくのか? いや、ポフッといくのか!? 」
Marcy
Marcy: 「(苦笑)つまり、どれくらいカジュアルにするかってことね」
Go
Go: 「そう! 普段の仕事では結構ガッチリ固いことやってますけど、ここではもっと自由にしゃべれる場にしたいよね」
Marcy
Marcy: 「そうだねー。ただ、カジュアルだからって適当に話すわけじゃなくて、働くことに関してちゃんと考える場にしたいね」
Go
Go: 「じゃあ、方向性は『カジュアルだけど、ちょっと真剣』って感じで!」
Marcy
Marcy: 「さて、今日のテーマですが、考えてたかな?」
Go
Go: 「ええっと……(ゴソゴソ)あ!これこれ!『チーフ・オブ・スタッフ』について話そうと思ってたんだよ!」

Chief of Staffって何?

Marcy
Marcy: 「おお、Chief of staff! アメリカではよく聞くけど、日本ではあまり馴染みがないよね。」
Go
Go: 「そうそう。実はこの役割、軍の指揮系統から発展してきたものらしいんだよね」
Marcy
Marcy: 「確かに、Netflixのドラマなんかでもよく出てくるよね。例えば『Designated Survivor』とか。あれめっちゃおもしろかった。」

*Designated Survivor: アメリカンポリティカルスリラードラマTVシリーズ。NetFlixで視聴可能
Go
Go: 「うん、あれは政府部門のお話だけど、英語圏のビジネス界だと、企業でもチーフ・オブ・スタッフの役割が確立してるよね。まさにMarcyさんが過去やってきたことにかなり近いと思うんだけど、大企業でもベンチャーでも、この役割はすごく重要だった...」
Marcy
Marcy: 「なるほど、1つずつ見ていこう」

🚀 Chief of staffの果たす役割🎧

Go
Go:Harvard Business Reviewの2020年の記事でChief of staffの果たす役割について触れているところがあるので、こちらを下敷きにして話してみよう。まずはエアトラフィックコントローラーだって言ってるね。なんかかっこいいね! でも要は経営トップの指示を整理して、各部署にうまく伝えるってことか」
Marcy
Marcy: 「そうだねー。組織全体を俯瞰して、指示が混乱しないようにコントロールする役割ってことだね」
Go
Go: 「つまり、社長の頭の中を整理して、適切なタイミングでみんなに情報を流す感じ?」
Marcy
Marcy: 「そうだね、沢山の人を適宜飛行機の着陸順を整理する航空管制官みたいな役割だね」
Go
Go: 「お、これは“つなぐ人”ってこと?」
Marcy
Marcy: 「そうね。部署ごとの壁をなくして、連携をスムーズにする役割だね」
Go
Go: 「あー、会社ってサイロ化しがちだから、部署間の橋渡しをするってことか」
Marcy
Marcy: 「うん。特に大きな企業では、部門ごとに目的が違うので、全体最適の視点を持つことが大事だね」
Go
Go: 「これ、社長の通訳みたいな感じ?」
Marcy
Marcy: 「近いよね。トップのビジョンを適切な温度感で組織全体に伝える役割だね」
Marcy
Marcy: 「トップが『利益が大事!』って言ったら、現場では『え、コスト削減ばっかりしろってこと?』ってなることあるもんね。そんなとき、それを適切に\"翻訳\"して、『この事業は大きな利益を出せるポテンシャルがあるんだ、それはすごいことなんだ、そしてそれが次の大きな展開に向けてとても夢のあることなんだ、そういう意味で利益が大事だって言ってるんだよ』といった内容を様々な角度から伝えてくれる人が重要になる...」
Go
Go: 「これ、名前がめっちゃ強そうじゃない?」
Marcy
Marcy: 「そうだねー(無視)。うん、これは簡単に言うと、トップに対しても正直に意見を言う役割、という意味で言ってるね」
Go
Go: 「なるほど。イエスマンじゃなくて、『それは違うと思います』ってちゃんと言える人が必要ってことか」
Marcy
Marcy: 「そうそう。組織のために、時にはトップにも厳しいフィードバックをする存在ですね」
Go
Go: 「これってどういうこと?」
Marcy
Marcy: 「これはチーフ・オブ・スタッフは思惑をもってはいけない、ってことだね。自分の出世とか評価といった目線ではなく、公正に動く必要があるということです」
Go
Go: 「あー、確かに経営陣の中で派閥争いとかがあると、公平に動けなくなるもんね」
Marcy
Marcy: 「そうねー。純粋に会社全体のために動くポジションというのが大事なんだよね」
Go
Go: 「ふむふむ、チーフ・オブ・スタッフって、ただの右腕じゃなくて、組織を滑らかに動かす潤滑油みたいな存在なんだね!」
Marcy
Marcy: 「まさにそうね。役割が多岐にわたるからこそ、すごく重要なポジションなんだよね」

ROCKETS RADIO つづく!

Go
Go: 「じゃあ、次回のゲストトーク企画、進めましょう!」
Marcy
Marcy: 「さて、最後に1つ決めておきたいことがあります。」
Go
Go: 「なんでしょう?」
Marcy
Marcy: 「この番組名、さっきなんて言いました?」
Go
Go: 「ロケッツラジオ?」
Marcy
Marcy: 「いやいや、ROCKETS RADIOです」
Go
Go: 「れでぃお?」
Marcy
Marcy: 「いやいや、RADIOね」
Go
Go: 「ロケッツレイディオ!」
Marcy
Marcy: 「そうそう ROCKETS RADIOね」
Go
Go: 「ロケッツ...」
Marcy
Marcy: 「....レイディオ! ... 練習しておきましょう」
Go
Go: 「うん。練習します... w」
Marcy
Marcy: 「それでは、また次回。ロケッツ レイディオでした!バイバイ!」
Go
Go: 「バイバイー」

こちらの記事は第一回ROCKETS RADIOの様子を抜粋したものです。ROCKETS RADIOは Podcast (Spotify, Apple, Amazon, StandFM)とYouTubeで聞くことができます。

ROCKETS RADIOの中ではChief of Staffについてもう少し詳しく語っているので、興味ある方はぜひ聞いてみてください。

宇宙速度

スピードの閾値

ロケットが地球の重力を抜け出して宇宙に飛び出すためには、毎秒11.2キロメートルという速度を超える必要がある。
それより低い速度で飛ぶ物体は、宇宙に飛び出すことができない。この”毎秒11.2km”は宇宙速度と呼ばれており、地球上に存在する全ての物体に、この物理法則が適用される。

不思議なことである。
自動車にのって、隣の町に向かうときは時速100キロで走っても、時速10キロで走ってもたどりつくことができる。
もちろん、時速100キロで走った方が早くつくけれど、時速10キロで走っても時間をかければいつかはたどり着く。

だけど、宇宙に飛び出すためには、必ず決まった速度以上を出す必要がある。
時間をかければ解決するという問題ではない。
毎秒11.2キロメートルという値を超えない限り、
永遠に宇宙には飛び出せない。

「宇宙速度」という概念は、スピードが閾値(しきい値)を超えるか超えないかで全く事情が変わってしまう場合があるということを教えてくれる。

ワークスタイル

仕事をするときに考える

今自分は自動車を運転しているのか?
ロケットを飛ばしているのか?

仕事を作業と考えるのであれば、マイペースでじわじわ働けばよいし、それでもいつかは作業を終えることができるが、自分自身を今のレベルから脱却させるためには、つまり、宇宙に飛び出すためには、絶対的なスピードが必要となる。
自分のレベルを超えていくためにはロケットにならないと行けない。

毎秒11.2キロを超えるために
今日も自分のエンジンを爆発させる。

アイデンティティ

前近代

アイデンティティという概念が生まれたのはそんなに昔のことではないらしく、近代化以降のことらしい。日本だったら明治以降のことだと思う。

江戸時代の人に、「お前は何者か」と聞いたらどんな答がかえってくるか。

きっと「俺は、○○村の○○の里の百姓やってる○○の三男で・・・」
というように、生まれについて話をするだろうと思う。
近代化以前は、百姓に生まれついたら死ぬまで百姓だった。とても不自由な時代だけど、でも、「お前」は何者か?と問われることはなく、個人への説明プレッシャーは無い時代だったとも言えるかもしれない。

近代化後

近代化以降状況は変わる。

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アイデンティティ

近代化以降変わったのは、多くの人が「職業選択の自由」を手にしたこと。職業選択の自由が生まれると、自由であるが、逆に言うと職業を選ばないと「いけない」ようになった。そこで悩みが発生する。子供時代を終えて社会に出るとき、自分は何者として社会にエントリーするのか、決めないといけない。生涯で一度悩む。俺は算盤が得意だから銀行員として社会にエントリーしよう、なんて考えたりする。この一度の悩みの時期。モラトリアムの誕生である。

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所属によるアイデンティティの獲得

生まれではなく、自分が選んだ所属先で自分を説明するようになった。
そして、この形はその後も続いていると言っていいと思う。

近代に入って大量に生まれた「会社員」の人たち、特に無期雇用で働いている人たちは、このモデルの典型だと思う。高校3年生とか大学4年生の前後で悩むけど、職業を決めたら、会社を決めたら、安定する。

アイデンティティクライシス

しかしこのモデルは最近怪しくなってきていると思う。定年は短くなり、寿命は伸びた。会社の定年後も人生は続くようになって、この形は安定ではなくなった。

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クライシス

会社辞めたあと、「いったい俺は何なんだろう」と60代、70代の人はつぶやく。それを見て、その下の世代の男女も不安になる。定年を意識し始めた50代も同じようなことを言う。

自分が社会人始めたころのバリバリのエースだった人達が、今、定年に近い年代にさしかかっている。「私は何者なんだろう」と言っている声を実際に聞く。元気ない姿も目にする。定年クライシスだ。

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若くてもクライシス

このクライシスは50代以降に限らない。
同世代もクライシスを迎えている人がいるように思うし、そして自分の後輩の世代でもたちも同じようにクライシスしている姿を見る。40代も30代も20代もクライシス。

50代後半の先輩から、「中沢くん、俺っていったい何者なんだろう」という相談のつぶやきを聞いた日の同じ日の夜に20歳の同級生(* 昨年は大学に通っていた)から、「中沢さん、私っていったい何者なんでしょう」というつぶやきを聞く。世代問わず共通した課題であるようだ。

クライシスの背景

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この変化をもたらしている背景には以下のような要素があるように思う。

✓ 終身雇用じゃないのが当たり前
✓ 市場価値プレッシャー
✓ SNSで見える化(強調化)される同年代の活躍 
✓ 大人になってもつづくレジェンドプレッシャー(ペイジシフト)

転職しようとすると、これまでの会社名ではなく、「自分」にはどんな市場価値があるのか?と聞かれるし、「お前は何者か?」を問われることになる。
自分について説明しろというプレッシャーを強く感じることになる。
また、SNSで他人の活動が見えやすくなったことにより、自分も人に説明しやすいような何者かにならねば…というプレッシャーを感じることになる。

ペイジシフト

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Page shift

「何者かになりたいプレッシャー」にも変遷がある。これを ペイジシフト と呼びたい。
もともとは、友人がなにげなく「昔はみんなジミーペイジに憧れたけど、今はみんなラリーペイジに憧れてる。ペイジシフトだね」という感じで言っていた言葉。
でも、実際このシフトは大きなシフトだなと思い、ずっと頭に残っていた。

昔の憧れの代表例、ジミー・ペイジは、レッドツェッペリンというレジェンドバンドのギタリスト。
別にこれが別のスターでも、尾崎豊でもよいのだけれど、とにかく昔はロックスターをレジェンドとして熱狂する人たちがいた。
このロックスター型の熱狂の特徴は、「若き日のハシカ的熱狂」という風に整理されやすいこと。「10代のときは俺もロックギタリストに憧れたもんだ、でも20代になって髪を切ってスーツを着て今は真面目に働いています。」…という整理。自分の回顧の青春ストーリーの中では胸を熱くする存在として蘇るが、普段働いているときの自分の生活に入り込んでくることはない、そんな存在。

それがシフトしている。みんなの憧れの典型例がラリー・ペイジ(Google創業者)にシフトしている。Googleを創業してしまうような偉大な起業家に憧れて熱狂する人たちがいる。この起業家型の熱狂の特徴は、「若き日のハシカ的熱狂」という風に整理しづらいこと。
だって、10代を過ぎて、20代でも50代でも何歳でも起業はできるから。「あの時の俺は若かったからね」なんて回顧のストーリーに閉じ込めることはできず、ラリーの幻影は常に生活に入り込んでくる。「ていうか今からでもがんばりなよ」というセルフツッコミが聞こえてきてしまう。
今からでも「自分が何かすごいやつ(レジェンド)にならなければならない」、そんなプレッシャーを感じさせられてしまうのだ。

まあ、極端なたとえだし、半分冗談で言っている。

もちろん、人によって、「憧れの人」は違うわけだけれど、なにか一つの典型としてジミー型とラリー型を想像すると、両者は、大人になってからの自分へのプレッシャー度が違う気がする。ラリー型の憧れを持つと、プレッシャーを手放しにくい日々を送りがちな気がする。

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つまりこれ。

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現代人、みんな大変だよなと思う。自分を説明せよ、というプレッシャーが強くなってきているように感じる。
終身雇用の時代に、終身雇用の会社に就職した人は、自己紹介に悩むことがなかったんじゃないかなと思う。会社名を言えば、それが自分の説明になっていた。

所属で語るアイデンティティにしっくりこない

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「お前は何者?」という問いに対して、「私は・・・です」というとき、会社で働いている人だと典型的には、「○○社の✕✕です」と答えることが多い。社会人の自己紹介はたいてい名刺交換から始まるし、自然な流れで事故初回のファーストラインは、所属(会社名)になる。

だが、市場価値プレッシャーや、レジェンドプレッシャーを感じて生きている人は、この所属で説明する自分に、自分自身がピンと来ないという問題が起きがちなんじゃないかと思う。

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江戸時代や終身雇用の時代に比べたら、個人へのプレッシャーがどんどん強くなっている時代だけど、同時に、どんどん自由にもなっているわけなので、せっかくのこの時代の良さを味わって生きたい。

ビジョン式アイデンティティ

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そのための方法として、「私は・・・・がやりたい人です」という形で自分のアイデンティティを認識する方法をおすすめしたい。

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この「やりたいこと」式は、所属式と全く違うというわけではない。所属は依然として重要な自分のアイデンティティの一部だ。
もともと、自分を説明するたくさんの要素(たくさんのハッシュタグ)がある。熊本県出身、元サッカー部、ヒップホップが好き、落語が好き、営業職、心理学に興味がある、○○社に所属している・・・そういうたくさんあるハッシュタグを全て説明しきれればよいが、それを他人に伝えるのは大変なので、自分のいくつかの要素をくくって、シンプルにまとめる必要があるときがある。そのとき、一番上に持ってくるものを何にするかという点が違う。
色々あるけど結局「私は○○社に所属する者です」と説明するのか、あるいは「私は・・・がしたい人です」と説明するか。
もちろん会社の人間として会うときは○○社の○○ですという説明になるが、個人として関係性を作りたいときは「私は・・・がしたい人です」を上位にもってきた説明をすることができる。
その場合、「私は・・・がしたい人です。そして、いまこういう理由で/こういう思いで、ここに所属しています。」となる。

「・・・したい人です」式がおすすめな理由

この方式は、以下のような点からおすすめだと思う。

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たとえば、僕がどこかの先進的な学校の校長先生と話してもりあがったとき、「あ、たしかA君は “AIを使って公教育をイノベーションしたい”ということ言ってたから、この校長先生をA君に紹介したおもしろいかもしれない」と思う。

ある人が「・・・がしたい人」だというのが分かっていると、その人に紹介したいと思う人が増える。逆に言うと、「・・・がしたい人」だと表明している人は人の紹介を受けやすいと思う。また、「・・・がしたい人です」という自己紹介から話が深くなり一回会っただけでも深い関係性を作ることができる。そういう意味で、人のつながりをつくりやすい。

また、学習効率がとても上がると思う。
自分で自分を「私は・・・がしたい人だ」と認識していると、日々のちょっとしたニュースや、日々の色々な人のやりとりの中でも、自分に関係のある情報をひろいあげていくことができる。流れて消えていくような事柄の中にチャンスを見つけることができる。

自分にとってコントローラブルだというのも大事だと思う。
会社名や所属する部門、割り当てられた職種は、自分でコントロールできないし、自分の意志と無関係にある日変更されたり、なくなったりする。
一方、「私は・・・したい人です」式の場合、自分自身がゆらぐわけではない。

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ではどうやったらそのように生きられるだろうか。
その参考に、2つのレジェンドの例を見てみたいと思う。孫さんとジョブスさん。ビジネスパーソンの中では共にレジェンドであり、2大アイドルのように思っている人も多いと思う。

孫さんとジョブスさん

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孫さんは常々「登る山を決めよ」と言っている。人生をかけて自分がいったい何をなさんとしているのか、まず最初にこの志を決める、ということを重視している。50カ年の計画を立てて、60代でここまで行きたいから、50代でここまで実現し、そのために、40代でこれをする、そのために30代でこれをする、そのために今これをやっています・・・といった形でゴールから逆算で考えて行動する、という逆算思考もはっきりしたものだと思う。ゴールを先に決めるという意味では演繹的であり、トップダウン的と言えると思う。

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一方、もうひとりのレジェンド、ジョブスさんはなんて言っているか。2005年にジョブズ氏がスタンフォード大学を卒業する学生の前でおこなった有名なスピーチで、 “Connecting the dots” という話がある。彼はこのスピーチの中で、

将来を見越して点をつなぐことはできない。振り返ってつなぐことしかできない。だから将来何らかの形で点がつながると信じることだ。勇気、運命、人生、カルマといった何か。それが何であれその何かを信じることだ。それが人生に大きな違いをもたらすのだ。

Steve Jobs’ 2005 Stanford Commencement Address

と言っている。先を見通して計画を立てるな、と言っているように思う。人に説明しやすいようなもっともらしい計画よりも、もっと自分の直感的な何かを信じて行動する。なぜかはわからないが、ある日ふと過去を振り返ってみると、これまでやってきたことが輝いてつながっていることに気づくのだ、と言っているように思う。対比的に言うのであれば、ボトムアップ的であり、帰納的であると言えると思う。

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真逆のメッセージ?

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両氏のメッセージは、言葉に現れた部分だけを見ていると、逆のことを言っているように見える。もちろん、何を強調するかの違いかもしれないし、本人同士が話せば、違いと同じくらい共通点を見出すかもしれない。
でも、言葉にあらわれている部分だけ見ると逆だ。
身の回りにいるビジネスパーソンの中には孫氏とジョブズ氏を同じようにリスペクトし、崇拝する人が多いが、両氏のメッセージの「逆ささ」を指摘する人は少ないように思う。

両立?

両氏の気持ちを勝手に慮って代弁することはできない。ただ、両氏のメッセージにインスピレーションを受けて、自分自身がどう考えるかという点を加えて考えると、この両方のやり方は両立できるし、それが自分を含む多くの人にとっておすすめなやり方なのではないか、と思う。

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上記の図のとおりの両立のイメージである。孫式とジョブズ式を行き来するようなイメージ。これが良いのではないかと思う。
これはつまり何を言っているかというと・・・

β版としての言語化からはじめよう

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まずは自分個人のビジョン・志を定め、それを言語化する。
「登る山を決める」と言う、孫さんの考え方に通ずるやり方だ。

ただし、ここでは、あくまでこれを「β版」としている。

「生涯かけて」「私は」「本当に」「これが最終的なゴールだというつもりで」、そういうつもりでビジョンを定めるような「山」だと言うと、動けなくなる人が多いと思うので、そういう風に考えなくていいですよと言ってあげたい。

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正しさにこだわって考え込みすぎると動き出すのが難しくなる。
そういう状況の人、いるのではないだろうか?
1年たっても2年たっても、「今は自分の登る山を考えています」。3年たっても4年たっても「まだ分かりません。考えています。」
・・・となっている人、いないだろうか?

僕はそんな風に考えなくて良いと思う。
β版でよいですよ、仮ぎめでよいですよ、と言ってあげたい。
インターネットベンチャーのプロダクト開発における「初期仮説」みないなものに似ている。
まずは、最初の仮説を持って動き出すが、実際に人とあって話して考えたりしているうちに、仮説は変わっていく。あるいは自分がぼんやりもっていた仮説が研ぎ澄まされて、自分がやろうとしていることが何なのかがはっきりしてくる。
それと同じように、個人のビジョンもβ版仮説から始めたらよいと思う。

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そうすることによって、動きが始まる。
いったん言語化して、「私は・・・がしたい人です」と言ってみるところから始まる。
そして人に自己紹介して、話をしていくと、人からの反応を得ることができる。そして、共感などをうけて人のつながりが生まれていく。具体的な行動がはじまっていく。また、共感や批判などの反応を聞きながら、自分の中でビジョンの微調整が発生していく。
最初は「AIで公教育革命がしたい」という言語化をしていた人が、そうやってしゃべりながら行動を積み重ねる中で、「僕はどちらかというと 教師が学び続ける環境をつくりたい、そのためのプラットフォームサービスをつくりたいんだ」という風に変化するかもしれないし、「わかりにくさとは何なのか、人によって分かりにくいと思う部分が違うのはなぜなのか、人間の理解の仕組みを研究したい」という風に変化するかもしれない。はたまた、つながった人から影響を受けてもっともっとぜんぜん違う個人ビジョンに変化するかもしれない。

いったん、言語化するという意味では、「登る山を決める」に通ずるが、最初に計画しすぎずに、ある程度直感的に行動しながら、あるタイミングで振り返って見直して、今までやってきたことがどういう意味を持つのか考えるという意味では「Connecting the dots」に通ずる。
この両者を行き来するのがよいのではないかと思う。

考えてみれば、最初に考えて決めきってから動けという「登る山を決めよ」も、最初にまったく決めずに直感にもとづいて動けという「Connecting the dots」も極端な表現であるように思う。
多くの人にとっては、その間がおすすめなのではないかなと思う。何か個人ビジョンを決めた方が動きやすい。でも、決めることにこだわりすぎると動きはじめられない。だから仮ぎめ(β版)で動き出す。そうやっていると個人ビジョンは、だんだん変わっていく。でもそれでよい。動いて、変わって、振り返って点と点をつないでみて、また動く。
「私は・・・をしたい人だ」という「・・・」の部分はだんだん変わる。しかしその変わり方、変わりっぷり、私ならではの変わり方の部分が、私らしいのだと自己認識して生きると、楽しく生きられるのではないかなと思う。
だから、もし自分がアイデンティティ・クライシスにいる、あるいはその予備軍の先輩・同輩・後輩に相談されたら、そんな生き方をおすすめしたいと思う。

動的に変わる自分の中に自分らしさ

まとめると、

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ということである。自分ができることと、社会からの要請の折り合いをつけながら自分は社会の中で存在しているが、「私は・・・がしたい」の言語化と変化という戦略をもって社会に参加することで、ある程度自分で自分をコントロールできている感覚を味わいながら楽しみながら生きることができるのではないかと思う。最終的に自分のアイデンティティがどこに着地するのかはわからない。しかし自分で選びながら自分が変わっていく感じの中に自分らしさを感じることができると思う。

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β版の個人ビジョンからはじまるプロセスは上記のようなイメージになる。
これは、元々は2007年頃に、社内SNSのコンセプトを表すために書かれた図だが、今になってみると、現代風の生き方そのものだなというように思う。
いったん個人ビジョンを言語する、そしてそれを発信する、発信して他の人と話すようになると、いろいろな意味で気づきが生まれるし、またつながりが生まれる。つながりが生まれると新しに行動が起こせるようになり、少し自分の個人ビジョンが変わる。そうするとちょっと違った内容でまた発信できるようになる。そこからまた気づきが生まれ・・・という繰り返しだ。

君の中は何種類もの生き物によって構成されている。
君がある方向へ一歩踏み出すのは、
その中の学習欲旺盛な一匹によるものである。
好奇心、それが君自身だ。

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自分の好奇心に導かれながら自分が変わっていく、自分が変わっていく部分も含めて自分らしい、と感じる。

会社(チーム)と個人

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ここまで個人が個人ビジョンをもって生きる生き方のススメについて書いた。では、人が複数集まって作る会社やチームのビジョンと個人のビジョンはどんな関係にあるか。どんな関係にあるべきか。

会社はビジョンをもつべきだと思う。参加するメンバーが一丸となって、One team, one vision で働く時、その会社やチームはパワフルで生産的なチームになる。
そのビジョンの前において、個人は「部分」となる。社長も含めて、すべてのメンバーは会社(チーム)のビジョンを実現するためにその一部を担うことになる。会社がこのようなビジョンを持つべきだという発想は、ベンチャーを中心に、一部の会社では当たり前のことになりつつあると思う。

そこからさらに進めて考えたい。

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すべてのメンバーは会社(チーム)は会社のビジョンを頂点と考えた時に、その一部となっているが、同時に、逆に、そのメンバー個人を上にもってきて、個人のビジョンを頂点としたときには、会社が、その個人ビジョンの一部になっているという関係性になる。

個人のビジョンはベータ版かもしれないが、何かしらの形で「私は・・・したい人です」というものが定義できたとき、その個人ビジョンの中で、いまこの会社に所属しているということの意味もまた評価できる。

会社のビジョンと個人のビジョンが完全一致しているわけではないのに、完全一致してしかるべきという建前にたってしまうと、どこかで無理がきたときに、愛憎が反転して、モチベーションを続けるのが難しくなると思う。
会社のビジョンと個人のビジョンは完全一致ではないが、しかし、個人のビジョンの中で確固たる意味があってえ今この会社にいるのだという整理ができて、そこに腹落ちがあるとき、その人は力強く働けると思うし、そういうメンバーで構成された会社というのは強く安定したチームになると思う。

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ゆえに、これからのビジョナリーカンパニーというものにとって、会社のビジョンを定義するというだけでなく、各メンバーが個人のビジョン(β版でよい)を言語化できるようにサポートすること、そして、その個人ビジョンの中で会社にいることの意味をどう定義できるかの言語化もサポートすること、その2つも合わせて実施していくことが重要になっていくのではないかと思う。個人のビジョンにおける会社の意味が、自分および周囲の人から理解されていると、今自分が頑張りたい理由もわかるし、将来的に個人ビジョンにおける現状が進捗したとき、前向きな意味で会社を去るときも、他メンバーの理解と応援を得やすいかもしれない。

そんな風にチームを運営したいなと自分自身思う。

まとめ

まとめるとこんな考え方について書いた。

・アイデンティティのあり方は時代とともに変わるもの
・所属を重視するアイデンティティのあり方は現代においては不安定
・ビジョン式アイデンティティのススメ
・β版の個人ビジョン(孫さん式とジョブス式の間を行く考え方)を持つススメ
・動的に変わっていく自分の中に自分らしさを感じると生きるのが楽しくなる

そして、最後に、そうやって、β版個人ビジョンを持ちつつ、変わっていく自分を楽しむ生き方を、会社としても応援できるはずだという考え方を書いた。

個人が、個人ビジョンと会社の関係について定義できるよう応援するような会社がありえるとおもう。個人ビジョンと会社の関係について、自分なりに定義&腹落ちできているメンバーによって構成された会社は、この不安定な世の中でも、不安定な事業環境の中でも、比較的安定した強い会社になるのではないかと思う。

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